代表的な景気循環株である自動車株は、配当金生活には向きません。

自動車業界は設備投資が必要なため、配当性向を引き上げるのには限界があり、景気の波によって一株当たり純利益(一株利益、EPS)も大きく変動するので安定配当が難しいからです。

この一株利益が大きく変動する、というのが自動車株を単純に配当利回りやPERで語る事を難しくしています。

会社によっては一株利益が予想外に減少しても、一時的に配当性向を引き上げて配当を維持する事もできますが、自動車株は設備投資の関係でそれが難しい傾向がありますしね。


一般に株は配当利回りが高くPERが低い、つまり割安な時に買うのが良いとされます。

しかし自動車株は株価の割安割高の判断の根拠となる一株利益が景気の波によって揺れ動いている為に、これが素直には当てはまりません。

配当利回りやPERといった割安割高の指標があてになるのは、あくまで来期の予想配当や予想一株利益がある程度信用できる場合だけなのです。


トヨタ(7203)やホンダ(7267)、日産自動車(7201)といった時価総額の高い大企業の銘柄にはプロのアナリストがついて、プロのファンドマネージャーが常に投資を考えています。

時価総額が高く流動性の豊富な超大型株の市場は、まさにプロの戦場です。それはつまり、情報が豊富で来期の業績予想が株価に織り込まれるスピードがとても速い事を意味します。

プロは常に人の先にまわって、人より早く買って人より早く売る事を考えています。株価は実際の景気に先行すると言われますが、これが顕著なのが自動車株です。


もしあなたが好景気なのに自動車株のPERが低く配当利回りが高い、と感じられたらならば、それは好景気がすでにピークを過ぎて終わりかけていて、来期の一株利益や配当の減少を見越した大多数のプロが売りにまわっている証左かもしれません。

PERの低下と配当利回りの上昇を見てこれは割安と判断した素人が買った所で、すでに下がり始めていた株価はさらに一段下落を始めるかもしれません。


つまり、自動車株は配当利回りが「低く」PERが「高い」ときに買うべき、というのは、「景気循環株はあきらかに景気が悪い時に買ってあきらかに景気が良い時に売った方がよい」という実に当たり前の事を言っているだけです。

景気循環株は不況時には株価の下落以上に一株利益も配当も小さくなっているので、予想PERは高めに、予想配当利回りは低めに出るんですね。


先読み! 景気循環入門




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