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カテゴリ:【JT】日本たばこ産業(2914)

【JT】たばこ増税による喫煙者の減少と売上本数減は日本たばこ産業(2914)にデメリットしかないのか?

2018年10月からたばこ税の増税が開始されます。

たばこ税の増税は今年にとどまらず、紙巻たばこは2018年から2021年まで消費税増税の2019年を除き4年かけてたばこ1本あたり3円の増税、

プルームテックなどの加熱式たばこは2022年までの5年かけて毎年の穏やかな増税が予定されています。


外部参考記事:【図解・政治】税制改正大綱・たばこ税増税のイメージ(2017年12月)(時事ドットコムニュース)


たばこ税の増税とそれに伴う値上げにより、喫煙者の減少とたばこの売上本数減が予想されます。

では、たばこ増税による喫煙者の減少と売上本数減は日本たばこ産業(2914)にデメリットしかないのでしょうか?


もちろんそんな事はありませんよね。

たばこの歴史は増税の歴史で、1998年に特別税が創設されてから2010年までに計4回(消費税の段階値上げはまた別)の増税が実施されています。

日本たばこ産業(2914)にとって増税がデメリットでしかないなら、増税のたびに経営上のダメージを受けて今頃は潰れているかもしれません。

少なくともそんな儲からない利益構造の企業だったら、株を買う人もいないから株式も売り出されなかったでしょう。


わりと常識的な話ですが、たばこ税の増税にともなうたばこの値上げは、喫煙者の減少と売上本数減を見込んで、増税分よりさらに大幅に値上げされるのが常です。

悪く言えば便乗値上げです。

日本たばこ産業(2914)は今回もたばこ増税分は価格に転嫁すると表明しています

JT(2914.T)の見浪直博副社長は1日の決算会見で、紙巻きたばこ、加熱式たばこともに、10月のたばこ増税分は価格転嫁する方針を示した。

紙巻き・加熱式ともたばこ増税分は価格転嫁=JT副社長



この「価格転嫁」は、かならずしも増税分だけを価格に反映するという意味ではありません。日本語は難しい。



過去の例で言うと、前回の2010年にはたばこ1本あたり3.5円という大幅な増税が実施されました。1箱20本だから1箱あたり70円です。

しかし実際の値上げ幅は、

マイルドセブン等33銘柄は現行の300円 が410円に、セブンスターやピース等14銘柄は300円が440円

JT、10月1日からたばこ値上げ実施へ(2010年 ロイター)



となっており、セブンスターに至っては70円の増税に対して140円の値上げと豪快に(便乗)値上げをしています。


今回はまず2018年10月からたばこ1本あたり1円の増税(20本1箱あたり20円)ですが、実際の値上げ幅はこうです。

【代表的な紙巻たばこの改定価格】

・ナチュラル アメリカン スピリット 現行 480 円 → 改定 520 円
・セブンスター、ピース(20 本入) 現行 460 円 → 改定 500 円
・メビウス 現行 440 円 → 改定 480 円
・ピアニッシモ 現行 450 円 → 改定 480 円
・ウィンストン、ハイライト 現行 420 円 → 改定 450 円
・キャメル 現行 380 円 → 改定 400 円
・ホープ(10 本入) 現行 230 円 → 改定 250 円

【加熱式たばこの改定価格】
・プルーム・テック 現行 460 円 → 改定 490 円

たばこ税増税に伴うたばこの小売定価改定の認可について



紙巻たばこの主力銘柄については、おおむね増税分の2倍の値上げ幅です。

紙巻たばこについては2019年は消費税増税、2020年と2021年はそれぞれまたタバコ税の増税が予定されているので、その都度価格改定されるでしょう。

また加熱式たばこについても5年連続の値上げが予定されており、デビューしたばかりのプルームテックにとってはこれは痛いですが、

現在の小売価格を基に試算すると、紙巻きと比べた場合の税額は、JTの「プルーム・テック」が約7割、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」が約8割、米フィリップ・モリスの「アイコス」が約9割となる

【図解・政治】税制改正大綱・たばこ税増税のイメージ(2017年12月)



ライバルのグローやアイコスに比べると紙巻たばこに対する税額が抑えられてる分はまだマシかと思われます。紙巻きより値上げ幅は少ないですがここでもきっちり便乗値上げしていますし。


たばこ増税による喫煙者の減少と売上本数減があっても、(便乗)値上げによりある程度の利益は確保される仕組みは分かりました。

あとは実際、値上げによってどれだけ喫煙者の皆さんがたばこを吸う事をやめるか、吸う本数を減らすかです。

たばこ税の増税の大義名分として、喫煙者の数を減らした上である程度の税収を確保するという事がありますので、実際に減ってくれないと困る(厚生労働省とかが)ということにもなりますが……

喫煙者に、増税後の喫煙習慣をどうする予定か聞くと、「禁煙する」と答えた人はわずか12.1%。「特になにも変えない」(44%)、「吸う本数を減らす」(40.7%)が多かった。将来的な医療費削減や受動喫煙の防止を見込んだ「たばこ税増税」だが、急速な変化をもたらす可能性は低いようだ。

10月のたばこ増税・値上げで「禁煙する」わずか1割「やめたくない人はいくらになってもやめられない」(キャリコネニュース)



この調査だと値上げの影響で禁煙予定のある人は約1割、喫煙者の「禁煙する」「やめる」「減らす」はあんまり当てにならない(偏見)ので、実際はどうなんだろうと思います。

たぶん記事にあるとおり予測の範囲内、まだまだ急速な変化をもたらす可能性は低いのではないでしょうか。

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【JT】日本たばこ産業(2914)の株価下落の理由はESG投資による資金シフト?

JTこと日本たばこ産業(2914)の株が売られている理由のひとつと言われているのが、ESG投資による海外機関投資家の資金シフトの流れです。



16日にロシア4位のたばこメーカー、ドンスコイ・タバックを約1900億円で買収すると発表した。環境や社会に配慮した企業を評価する「ESG投資」に取り組む機関投資家が増えており、海外のたばこ事業を収益拡大のテコにする買収戦略に失望した売りが出ているもようだ。株式市場では「(非たばこ事業である)食品や医薬品などを柱にした事業拡大策でないと、長期的な収益成長は難しい」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成上席執行役員)との声があった。


確かにJTは食品加工品事業や医薬品事業も手掛けて多角化していますが、本来の事業は言うまでもなくたばこ事業です。

何せ、「日本たばこ産業株式会社法」通称JT法という法律の第1条にそう定めてあります。

(会社の目的)
第1条 日本たばこ産業株式会社は、たばこ事業法(昭和59年法律第68号)第1条に規定する目的を達成するため、製造たばこの製造、販売及び輸入に関する事業を経営することを目的とする株式会社とする。

日本たばこ産業株式会社法


そのJTに向かって、しかも国内の市場が縮小しているのに、「海外のたばこ事業を収益拡大のテコにする買収戦略に失望」というのは売る理由づけにしてもあまりにも酷いですね。

八百屋に向かって、さいきん野菜を売るのは感心しない風潮があるから本来業務を拡大するのはやめて魚や肉も売って多角化しろ、と言ってるようなもので、こんなものはいいがかりに近いので八百屋は怒ってもいいと思います。


とはいうものの、「ESG投資」の影響は無視できません。

外部参考リンク:ESG投資(いーえすじーとうし)野村證券

JTの株主構成は政府と自社(自己株口)が合わせて44%弱を持ちますが、残りの株主のうち最大の勢力は27%を持つ国外機関投資家です。

国内の個人投資家の比率は5%ほどしかありません。


外部リンク:ESG投資 株高導くか 環境や社会貢献、稼ぐ力カギ

この記事には「運用資産に占めるESG投資の割合は、欧州の53%や米国の22%に対して日本は3%にとどまる」とあります。

2017年時点で、特に欧州ではここまでESG投資の割合が上がってる事には驚きます。日本の3%というのは納得いきます。現時点でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用しているESG投資の割合がそれぐらいだからです。

外部リンク:サステナ、AI技術を用いた企業評価サイト「SUSTAINA」を公開。全上場企業を含む4,000社強のESG格付情報を提供開始。

国内でも2018年に入ってからこういう動きも出てきました。個人でも会員登録すればESG格付情報を見る事ができます(基本有料)

しかしESG投資は昔のSRI(社会的責任投資)的機械的なスクリーニングから、最近では普通のアクティブ運用に近いものが多くなっているらしいです。

JTの企業としての社会貢献の姿勢にはかかわらず、タバコ銘柄というだけで売りの対象にされている可能性もあります。

これは売りの理由としては問答無用で、安くなったら買い戻すといった性質のものではないので、需給要因としてはかなり悪いものです。


Jt.png


JTの3年チャートです。2016年の後半から目に見えて売られていますが、この期間のJTの株主構成における外国法人等の割合は次の通りです。

2015年3月 33.63%
2016年3月 32.10%
2017年3月 30.92%
2018年3月 27.44%

毎年のように外国法人等の持ち分が減り続けており、売りの主体が外国人である事が分かります。


このような事情もあり、国外機関投資家は売り、国内個人投資家は買い、といった構図ができあがってるといえます。

高配当のたばこ株は疑似債券的な性格があり、マイナス金利状況下の日本の個人投資家にとっては十分に買う合理的な理由があります。

今後米国の金利が上昇していき、日本の金利が低いままだと、ますます外国人が売って日本人が買うという状況になってくるでしょう。

そういう基本構造をESG投資が強烈に後押ししているのではないのかということです。

外国と日本の違いといえば、日本では時代も変わってきたとはいえ、まだまだ比較的タバコやアルコール、ギャンブルなどのESG投資にとってのネガティブ要因に寛容な空気がありますしね。


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【JT】日本たばこ産業(2914)のリスク要因

投資するときはリスク要因の洗い出しは重要な作業です。

たばこ産業全体ではなく、JTこと日本たばこ産業(2914)の固有のリスク要因は何でしょうか。

外部リンク:JTの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更=ムーディーズ(モーニングスター)

ムーディーズ・ジャパンは20日引け後、JT<2914>の発行体格付け「Aa3」を確認したと同時に、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したと発表した。

 ムーディーズでは、ネガティブへの見通しの変更は、事業から創出されるキャッシュフローの停滞と増加する配当により、同社のフリー・キャッシュフロー創出能力が弱まっていることに対する懸念を反映したとしている。


格付け会社の見通し変更ですが、この懸念はもっともです。

しかしこの懸念はよく読んでみると、JT固有のものではなく、たばこセクター全体のものである事が分かります。この傾向はJTだけでなく他のたばこメジャーも同じだからです。

売上が伸び悩んでいて積極的な買収によってそれを解消しようとしていること、配当性向が高止まりしているのはJTだけでなく他のたばこメジャーにも共通するポイントです。

これはJTの弱点というよりは、経営陣が30年来取り組んできた、JTが世界のJTになる野望が道なかばとはいえようやく達成されつつあると見た方がいいかもしれません。

JTはあのフィリップモリスと同じレベルの悩みを抱えているのですから、他の大多数のしょぼい日本企業とは文字通り次元が違います。

資本力が全ての、乾いた資本の世界の倫理です。

JTはフリップモリスなどの他のたばこメジャーと同じ基準で評価される事を望んでいます。決算を12月に変更(米国は12月決算が主流)したり、会計基準をIFRS(国際会計基準)に変更したのもその表れです。

他の国際たばこメジャーと比較して、JT固有のリスク要因とは何でしょうか?

これは特筆すべきものは特に無いように思えます。一番よく言われるのは買収により積みあがったのれん代の償却問題ですが、これも会計基準をIFRS(国際会計基準)に変更して国際基準に合わせた結果であり、JT固有の問題とは言えません。

強いて言えば買収にせよ何にせよJTは攻めすぎている、という批判が常にあります。

しかしJTが海外買収をしなかったり、本来事業ではない食品や医薬品に固執していたら、今頃は将来性も無く完全に詰んでいたのは明白です。

積極的な買収を批判したり、食品や医薬品などの分野に投資すべきだというアナリストの意見は無いものねだりであり、見当外れの嫌がらせみたいなものでしょう。

JTの株価が安いのはJT固有の要因というより、たばこセクター全体の要因の方が大きいのです。

たばこセクター全体が売りだと思えば売ればいいし、いや、だからこそ買いだと思えば買えばいい、そういうシンプルな話ではないでしょうか。





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