金融市場には一種の未来予測機能があります。

よく知られているのは株価の先行性で、景気が悪いのに株価が上昇している、と首をひねっていると、半年後や1年後に本当に景気が良くなってくる、といった具合です。その時はすでに株価は下がり始めていたりします。

これは投資家が情報を集め景気や企業の業績を調査して先読みする為に、現実に先行して株価が動く為です。もちろん投資家の総意が間違っている事もありますが、予測はリアルタイムで更新され修正されて株価に反映されていく為に、後から見れば結果として株価は正しかったという事になる事が多くなります。

金融市場の値動きを見るという事は、個人レベルではとても追い切れない恐ろしい程の情報量が盛り込まれた高精度の未来予測を見ている事になります。

特に現物の裏付けのない高度な先物市場はその性格が強く、先物価格が現実世界に影響を与えるようになります。

この先物金融市場の未来予測機能に注目して、ニューヨークの9.11テロがあった2000年代初頭に計画されたのが狂気の「テロ先物」市場創設です。

※2003年の記事です(計画は破棄):米国防総省、将来のテロ攻撃などについて賭け金を集める市場を構想

例えば1年後までにNYで大規模テロが起きたら1ドル、起きなかったら0ドルになるという商品で、これを先物市場で取引させる訳です。テロが起きそうになければ1セントで取引されるかもしれませんし、テロの情報が流れたり国際情勢によっては価格は1ドルに近づくかもしれません。

これに賭ける投機家は必死に情報を収集・精査してそれが取引価格に反映されるので、当局は市場を監視していれば価格の変動からテロの可能性を予測できるという訳です。

しかし天候に左右される穀物の先物などとは違って、テロは人為的に起こす物ですからテロ先物の存在自体がテロを誘発する危険性もあります。

米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA、ダーパ)はインターネットの原型やGPSを開発した部署で、文明の発展にも寄与している反面、国防上必要な情報収集の為ならばこういう狂気の発想も出てくるようなところです。

結局このテロ先物市場の創設は人道的、道義的にヤバ過ぎるという事で未遂に終わった訳ですが、金融市場の未来予測機能について考えさせる出来事です。

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