• 東芝(6502)の事例


    配当金生活的には、配当を行わない企業の株を買う理由は何もありません。
    また、減配したり無配になったりする株を保有し続ける理由もありません。

    この点は、「企業の将来性に期待して」「企業を応援したいから」「その会社、製品やサービスが好きだから」投資するといった夢見がちな投資ファン(多くは初心者)よりシンプルで明快です。

    日本の企業の評価はともかく、日本の株式市場の評価が低いのは、残念ながらそれだけ投資家の期待と信頼を裏切ってきた歴史があるからです。

    ベテランの日本株投資家はスレてます。純真で無邪気な日本株投資家は残念ながら淘汰されてきました。日本株投資家がヒネていて疑り深く、短期売買が多いのは日本株市場の責任もある、と恨み毎も言ってみたくなります。

    配当金生活的な企業の評価基準は配当の安定持続性、ただこれ一点です。
    配当の成長性はあるに越した事はありませんが、安定持続性を犠牲にしてまで追求する事ではありません。

    配当の安定持続性を保証するのは、事業の安定性、つまり安定して利益を上げ続ける事ができる体制かどうかです。これはシビアに考えなくてはなりません。配当金生活的にはこれのみを日夜考えていると言っていいでしょう。

    ところが、思考の元になるデータが改ざんされている事があれば、全ての検討努力はパアになります。
    粉飾決算は投資家に対する最大最悪の裏切り行為です。

    問題の東芝(6502)の配当金推移は、

    2010年 0円
    2011年 5円
    2012年 8円
    2013年 8円
    2014年 8円

    となっていて、順調に配当しているように見えますが、ご存知の通りこの期間は不適切な会計処理……ひらたく言って粉飾決算が発覚していなかったので、本来は払えない配当を株主を欺いて払っていた事になります。

    不適切会計問題により、2015年の期末からは無配になってますがこれが本来の姿だった訳です。

    東芝の事例は江守の事例ほど分かりやすい粉飾では無かったので、事前に見抜くのは困難でした。
    ただし注意して見ていれば少なくとも東芝(6502)が配当金生活には向かない企業だったのは分かります。

    ここでも見るべきはやはりキャッシュフロー、現金の流れです。企業の活動を通じて手元に残る資金の流れ、それが配当の原資になります。

    東芝が粉飾を行っていた期間は営業キャッシュフロー(簡単に言えば企業の稼ぎ)のプラスを投資キャッシュフロー(簡単に言えば資産の売買で増減した現金の量)のマイナスが上回る事が大半で、粉飾の有無はともかくとして、何かうまくいっていない会社だということは分かったはずです。

    そのため配当金生活的には眼中に無いというか、一見して興味の無い会社だったので投資対象にもならず粉飾決算の直撃を受ける事は免れました。