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これはもう、村上宣寛の「野宿大全」です。車中泊やオートキャンプでない、徒歩と自転車の野宿者向けの本です。


2007年刊行と少々古い本ですが、このジャンルは需要が少ないのか適当な参考書と言えばこれしかありません。

アウトドア雑誌のキャンプ情報はしょせんサラリーマンの週末キャンプにしか対応していないので、アウトドアメーカーの宣伝記事で埋め尽くされており、重篤なホームレスの野宿野郎のニーズには答えてくれません。

はたしてホームレスが野営地でダッチオーブンを用意して、家でも作らないような手の込んだ本格的キャンプ料理を作るでしょうか?作るワケがありません。

この本にあるようにコメも研がずにそのまま炊いたり、肉は塩コショウして焼くだけで食うのがリアルなホームレス像です。

著者の場合はキャンプ場にも泊まらないので内容は極めて実戦的です。野宿初心者にとって一番難しいのがキャンプ場以外で寝床を探す事です。道の駅などの人工的な所で寝るのは水場やトイレもあるし楽で安全ですが、誰かしらに迷惑をかける可能性があるし場所によっては人の出入りも多くて騒々しい位ので良い選択肢とは言えません。

お金を払って有料キャンプ場、特に自動車で一泊数千円から一万円もするオートキャンプ場に行けば快適です。しかしあれはあくまで野外でできるだけ快適に遊ぶ為の施設であって、週末の息抜きや子供の遊び場にしかなりません。

お金を払っているから「快適な」キャンプができる。水や電気に不自由することはない。地面は平坦で芝生が植えてあったり、高床式の木のフロアを作っている所もある。お金で買った「快適さ」である。資本主義の論理に組み込まれた「快適さ」である。すべては予想通りに整えられており、意外な出来事は何もない。そして意外性のない所には感動も生まれない。(序文より)


なかなかここまでストイックにはなれませんが、言わんとすることはよく分かります。整いすぎた環境は予想どおりでつまらないし、つまらない人が集まるので雰囲気も悪くなります。つまらない事を避けられるのがセミリタイアの大きなメリットであるはず。

それにキャンプ場に泊まるのがマストになってしまうと、行動が極端に制限され誰も彼も同じコースをたどり同じような行動に終始するようになってしまいます。完全野宿ならその点は完全に自由です。

野宿は法的にグレーな部分もあり、自己責任なので、この本にも一般人が読んだら引くような知識も書いてあります。野宿で困るのはまずトイレなので、環境に負担をかけない正しい野グ○のやり方とか。私はこれを読んでから自転車にグラスファイバー製の小さいスコップを積んでいます。

関係無い話ですが西日本では小さいのがスコップで大きいのをシャベルと呼び、東日本では逆なので混乱する事があります。


装備の選定やパッキングのしかたは、バックパッカー向けのパッキング方法と、自転車野郎向けのバイクパッキングの解説がそれぞれ載っているので参考になるでしょう。

この品で一番参考になるのは食料計画や野宿場所の選定方法。大事な事で経験がものを言うので、最後の方に大きなスペースを割いて載っています。著者も書いていて楽しい所なんじゃないかなあと。とにかく実戦的で著者の経験と独断と偏見の集大成の本でしょう。



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