前記事:行き過ぎた株主優待制度への批判の続きです。

株主優待は配当と違って会社法にその規定が無いため、存在そのものに法的な問題があります。もちろん、現実に多くの株主優待実施企業が存在することからわかるように、株主優待がただちに違法となるわけでもなく、微妙な問題です。

・株主平等の原則

株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。

会社法第109条第1項


株主平等の原則(株主平等原則)とは、株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならないとする原則です。株主優待は100株の最低単元株主が最も利回り(?)が高く、大株主になるほど不利になるのが普通です。字義通り解釈すれば、株主優待は株主平等原則に反していますが、いったん棚上げして次に行きます。

・配当規制

会社法第454条に配当規制について規定があります。配当を行うには株主総会での決議が必要ですが、株主優待を出すのに株主総会の決議は必要ありません。金銭以外の配当(現物配当。株式など)をする時も決議が必要ですが、株主優待が株主平等原則に反しないものなら、現物配当には当たらないとする解釈が一般的です。

・株主の権利行使に関する利益供与の禁止

会社法第120条。会社は株主の権利の行使に関して財産上の利益の供与をすることを禁じられています。株主優待は株主に対し財産上の利益を供与するものであるから、字義通り解釈すれば株主優待は会社法第120条に抵触しているような気もしますが、実際に裁判で違法とされた判例もあります。


株主平等の原則が特にキモになりますが、これらの問題点は、優待の程度が軽微で少額であり、株主優待の実施に会社としての合理的な理由があり、会社の業務に関係する便益の供与であると認められる以上は問題にならない、とする見解が一般的です。

つまりこれらの項目に触れれば株主優待は違法となる可能性があります。実際にそのような判例もあります。

軽く触れただけですが、株主優待が法的には実にきわどいものである事は分かっていただけると思います。「行列のできる法律相談所」で取り上げれば、最強弁護士軍団の見解も半々ぐらいに分かれるんじゃないですかね?

固い話になったので、次回は少しやわらかい話にしたいと思います。株主優待の問題点とおもしろ事例はまだまだあります。


株主優待ハンドブック 2017-2018年版 (日経ムック)



関連記事

スポンサーリンク





にほんブログ村 セミリタイア生活