前記事:株主優待制度の問題点(法律編)の続きです。

前記事で株主優待が「株主平等の原則」に反し、最小単元の個人株主のみという限られた株主だけを優遇する不公平な制度である事を述べました。

株主優待は最小単元の個人株主に有利で大株主に不利です。では、どのぐらい不利なのか。

大株主の中の大株主と言えば、国民の財産である年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。



GPIFが取得する株主優待は換金できるものは換金され運用収益の一部となり、その実績は平成28年度で約4.2億円です。配当利回りの計算要領で、GPIFの日本株ポートフォリオ全体の優待利回りを出してみましょう。

GPIF平成28年度業務概況書

GPIFの2016(平成 28)年度末の日本株保有率は全体の24.28%、時価総額にして35兆1,784億円です。そのうちパッシブ運用が31兆8,780億円なのでこれがインカムゲイン狙いの運用です。優待の換金額が4.2億円なので、優待利回りは、

優待換金額4.2億円÷パッシブ運用31兆8780億円×100=0.00131(%)

ゼロが多すぎて目がチカチカします。約0.001%ですね。株主優待を推奨する記事には優待利回りは数%などと景気の良い事が書いてありますが、その裏では大株主はこれだけの割を食っているわけです。

もちろんGPIFの運用は時価総額の大きい大型株が中心なので、優待株が多い小型株中心の個人投資家の優待ポートフォリオとは違いますが、GPIFが投資する企業は日本の上場企業約3500社のうち2000社を超えているのでその影響は無視できません。上場企業のうち優待実施企業は今や3社に1社となっています。

それに優待の換金額は額面より低くなるので換金ロスが生じます。換金できない優待は寄付していると公式にありますね。この換金ロスはそのまま国民の財産である年金の損失と見ていいでしょう。

もし株主優待を全廃し、財源を配当にあてて正当な株主還元策として0.1%でも増配するとしたら、年金の収益は年間に300億円以上も増加することになります。雀の涙の4.2億円(42億円じゃないですよ4.2億円ですよ)と比べたら雲泥の差です。

GPIFの運用利回りは年率にして2.89%であり、その大部分が配当金によるものです。株主優待を全廃して増配した方が、よっぽど国民の為になり国益にかなっています。

株主優待ハンドブック 2017-2018年版 (日経ムック)




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