究極の大株主であるGPIFの得る優待利回りの続きです。

株主平等原則に反する株主優待制度は外国人投資家や国内機関投資家にとってメリットが無いので、基本的に良くは思われていません。しかし、株主優待に一番厳しい目を向けているのは、実はこれらの大株主ではありません。

それはある意味最強の権力機関とも言える、国税庁です。人格化して考えると一番怖い人とも言えます。


国税庁が株主優待に目を光らせているのは、あまり企業が配当の代わりに株主優待制度を乱用すると、結果として税収が減るからです。

配当金は、企業活動を通じて得た利益から法人税その他の税金を払ったあとの利益から出します。

株主優待は、税金を払う前から出します……あれ、じゃあ配当をやめてその分を優待に回せば配当を出すよりより多く株主還元できるんじゃない?

例えば売上が100で費用が50、利益50に税金が40%とすると税金20で税引き後に残った利益は30。配当性向100%だと配当金は30。

配当をやめて株主優待を50出すとしたら、売上100で費用50に株主優待50で残った利益はゼロ。税金もゼロ。

素晴らしい!配当金だと30しか出せないけど、株主優待だと50出せる。もうみんな配当を出すのをやめて株主優待に切り替えようぜ!


……わかりやすくする為にわざと馬鹿馬鹿しい例にしましたが、もちろん国税庁というか国家がこんな事を許すはずはありません。税金がゼロになっているんですから。

実際は株主優待が全て経費(損金)として認められる訳ではありません。「損金不算入」と言いますが、むしろ損金として認められない場合の方が多い。

株主優待は項目としては「交際費」で処理される場合が多いようです。上場企業のような大企業で交際費だと損益不算入になり損金として認められないので、節税効果はありません。自社製品などで「広告宣伝費」と認められれば節税効果はあります。新商品を宣伝の意味で優待にするとかね。ちなみにクオカード優待は「交際費」で節税効果は無く高コストです。株主を接待してる訳ですね。

株主優待が損金不算入となると、どうなるかというと、費用が増えて節税効果が無い訳ですから、利益が減る。配当性向が同じだとするとその分配当も減ります。クオカードなどの金券優待というのは、大株主のフトコロからお金を抜いているのと同じです。

究極の大株主は国民の財産である年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ですから、現物買いと信用売りを組み合わせて金券優待のみを取得するクロス取引は、この点で道義的な問題があるかもしれません、と前回の記事の話につながるわけです。

金券優待は株主を接待している訳ですから、あまり過大になると特定株主への利益供与になるかもしれません。長期保有の株主のみをあまり優遇するのも株主平等原則に反しています。あくまでお中元とかお歳暮とか、社会通念上妥当なレベルにとどまっている場合のみ認められるものです。

ところで、外食産業の食事券は交際費なのか広告宣伝費なのか、以前、優待を実施している安楽亭(7562)が広告宣伝費として計上していた所、国税の指摘を受け申告漏れ3億円となった「事件」がありました。

株主優待券に係る国税不服審判所長の裁決書受領について(安楽亭)

この件の影響か、食事券優待も交際費扱いが妥当なようです。広告宣伝費と認めてもらいたいなら、そのような優待内容にしないといけませんね。

食事券優待が経費にならないなら、そのような高コストの優待はいずれ縮小されるでしょう。まともな企業なら配当を出した方がより株主還元になるからです。

つまり、それでも高コストな優待を出している企業は、配当もまともに出せない企業なのでしょう。
問題の安楽亭(7562)は、現在も無配で復配できていないようです。あっ(察し)。

以上、株主優待制度の問題点(税金編)でした。


関連記事:株主優待は非課税?いえいえ、れっきとした課税対象です。

株主優待ハンドブック 2017-2018年版 (日経ムック)



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