(12月30日記事更新)

平成30年度税制改正大綱で証券税制の改正案がいくつか挙がっています。

昨年に比べると地味なものが多いですが、目を引くのは「公募投資信託等の内外二重課税の調整」です。

平たく言うと、今まで海外の資産に投資する投資信託で発生していた外国税と国内税の2重課税問題を解決するものです。

外部リンク:平成30年度税制改正大綱(PDF)

これの「2 金融・証券税制」の箇所ですが、これだと非常に分かりにくいので金融庁のリンクを別に張ります。

外部リンク:平成30年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-(金融庁)

【大綱の概要】

○ 内外での二重課税が生じないよう、公募投資信託等を経由して支払った外国税は、当該公募投資信託等の分配金に係る源泉所得税の額から控除できることとする調整措置を講ずる。


これでもまだ難しい気がするので具体的に計算すると、例えば分配金を100出す投信があって外国税率が1割で国内税率が2割とすると、

現地で徴収される税金は1割で10だから外国資産に投資した投資信託の受け取る配当金は90。

国内税の計算は、分配金100の国内税率2割の20から外国税10を控除して10。

投資信託経由で払った外国税10と国内税10で合計20。調整の結果、投資家の払う税金は最終的に2割になります。

ややこしい気もしますが、これらの処理は投資家が自分でやるわけではないので、単純にとにかく2重課税問題は解決するんだな、という理解で良い気もします。

これだと外国税額控除の制度も使わないので、面倒な確定申告も不要です。

こうなってくると、海外の資産に投資して配当金を得る配当金生活では、海外ETFや外国株を直接買うより海外資産に投資する国内の投資信託を買った方が有利に思えます。

投資信託の場合は信託報酬がかかるし個別株と比べる性格のものではないかもしれませんが、余分な税金が取られないのは気分的に良いですね。配当金なんて気分が大事ですし。

税制的には配当控除をフルに使える国内個別株の次の投資対象として検討しても良くなるのではないかと思います。

関連記事:米国株(外国株)の配当金生活は(税制面で)不利すぎる!


※2017年12月30日追記

この件について大和総研リサーチで詳しいレポートが出ました。

外部リンク:外国税額控除の改正で投信のリターンが改善する(大和総研リサーチ)

大綱では具体的な算式が示されていないため、国税は外国債券の利子について採用されていた「差額徴収方式」と同様のスキームが用いられるものと想定、地方税については改正されないので現行のままとした試算のようです。

この試算では配当100に対して外国税10%国内税20%(国税15%+地方税5%)の条件で、源泉徴収後の投資家の分配は80.5となります。

私の計算では80になっていましたが、これは地方税を考慮せずに丸く20%で計算していたのでこうなってました。これだと地方税の方は改正しない方が投資家の取り分が増えるんですね。

レポートでは、信託財産のほとんどを S&P500の構成銘柄に投資しているインデックス投資信託で外国税が丸々分配金にかかる日本の所得税から控除できることとなると税引後リターンは年率0.2%程度改善することになる、と指摘しています。外国資産に投資する投資信託を利用する投資家にとって朗報でしょう。

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