関連記事:株式の配当や売却益など金融所得への課税強化?さり気ないが重大なニュース

株式課税の強化の議論についてのニュースですが、この話題は実は2014年にも出ています。

政府税制調査会は12日、基礎問題小委員会を開き、株式の配当にかかる税率の引き上げ検討に着手した。固定資産税の増税などと合わせ、法人税の実効税率引き下げの代替財源として検討する。

 配当で得た所得にかかる税率は現在20%。法人実効税率が下がると企業の利益が増えて配当に回る。小委では「株式配当の課税を強化する必要がある」(一橋大学の田近栄治特任教授)との声が複数あった。

「政府税調、株式課税の強化検討 法人税引き下げの代替財源に」 (2014年の日経新聞)より引用


法人税引き下げの分の税収減を補うために株式への課税を強化する、というのは色々と問題があります。だから結局実現はしなかったのでしょう。

ただ今回のニュースも消費税の軽減税率の分を株式への課税強化で賄う、という論旨のようですから、例え今回増税が実現しなくても今後も減税があるたびに補填の増税のほこ先が株式に向かい議論が蒸し返される可能性は十分にあります。

株式への課税を強化する理由としてはどのようなものがあるのでしょうか。この点は共産党など左派政党やそれ系の新聞などの主張が参考になります。

日本共産党の小池晃議員は23日、参院財政金融委員会で、所得が1億円を超えると所得税負担率が下がる問題を取り上げ、国際的にみても低い株式譲渡益課税を30%に引き上げ、配当課税も総合課税にするべきだと主張しました。

「株式譲渡益課税の強化を」(2016年のしんぶん赤旗)より引用


共産党らしく財政問題というより格差是正の観点からの主張です。配当課税を総合課税1本にするのは昭和初期まで逆戻りする案なので現実味がなく論外ですが、「国際的にみても低い株式譲渡益課税」というのは一定の説得力があります。

外部リンク:主要国の株式譲渡益課税の概要(財務省)

国によって税や社会保障の体系は違うので、「株式譲渡益課税」だけを抜き出して国際比較するのはフェアではないのですが、それでも米国や欧州の例を見ると所得によりますが30%程度のところが多く、日本もまだ引き上げる余地は残されている気もしてきます。増税したい財務省の作る資料なので騙されているのでしょうか(笑)

だだこれを見ても分かるように諸外国に比べて日本の証券税制はシンプルです。これは最初からシンプルだった訳ではなく、時代が進むたびに複雑になっていく税制度をシンプルに整備していこう国家意思が反映されています。


「金融所得課税の一体化」という用語があります。

金融所得課税の一体化とは、様々な金融商品に対する課税上の取り扱いを統一するための税制改正のことです。平成28年1月1日から、公社債や公募公社債投信などに対する課税方式が、「上場株式等」と同様の取り扱いに統一されました。また、「上場株式等」と「公社債等」の損益通算ができるようになりました。さらに、「公社債等」を特定口座で取り扱うことができるようになりました。

SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集


「様々な金融商品に対する課税上の取り扱いを統一するための税制改正」という方針に従って、株式と債券など異なるクラスの金融商品の損益通算を出来るようにしたり、税率を一律20%に揃えたりしてきた経緯があります。あと残されている課題はデリバティブ(金融派生商品)の一本化ぐらいです。

もし株式だけ税率を上げるとしたら、この流れに逆行する事になり政策との整合性が取れません。例えば1億円以上の所得に対してだけ税率を上げるとか、累進的で複雑な課税方法もこの方針にそぐわない事が分かります。

え?株式だけ上げるのがダメなら、債券も一緒に上げてしまえ?ついでにFXも含めて全て30%にしろ?

議論がまずい方向に行きそうなので、この話題はこれくらいにして次の論点に行きたいですが、長くなりそうなので次の記事にします。

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