カイジの地下通貨ペリカについて真面目に考察しておカネについて考えた

通貨とは何か?


マイナス金利の影響で通貨とはなんぞや?という事を考える機会も増えてきたと思います。

フィクションの世界の話ですが漫画「カイジ」の地下通貨「ペリカ」について考察しておカネについて考えてみます。

エンデの貨幣論について記事を書いた事もありペリカという私的通貨、おカネに興味があるんです。漫画とは言えあなどれないおカネの話……!

ペリカとは


ペリカ

マンガ『賭博破戒録カイジ』に登場する「地下王国」の通貨単位。スペルは「Perica」で、レートは1ペリカ10銭(0.1円)。
すべて紙幣で、額面は100ペリカ、1,000ペリカ、10,000ペリカの3種類。紙幣には発行者である帝愛グループ会長の兵藤和尊の顔が印刷されている。10ペリカ=1円。

ペリカとは – はてなキーワード –

perika.png
ペリカの券面のデザインには帝愛グループの総帥、兵頭会長の肖像画が採用されています。

ちなみに非公式情報ですが、兵頭会長のモデルは武富士の創業者と言われています(武富士→武藤→兵藤→兵頭)。

金貸し、借金取りのイメージでそのまんまですね。

地下通貨ペリカの違法性


借金持ちを地下に強制連行してタコ部屋労働を強いている時点で違法もクソも無いと思いますが、紙幣類似証券取締法という法律があります。これにより紙幣類似の作用・機能を有する物の発行等を取り締まっています。でも地域通貨ってありますよね?

商店街が発行したりするやつ。

地域通貨は円以外の名称、有効期限の設定、円との兌換不可、会員のみが使用可能な形態などを取る事により法的問題を回避したりします。

まあカイジや班長が地上に出た時に、ペリカと円の10対1での引き換えが保証されている描写があるので、このあたりガッツリ法に触れそうです(笑)

ペリカの実在モデルはあるのか?


ある訳ないだろう、と思ったのですが探したらそれらしいのがありました。西表(いりおもて)炭鉱で使われていた炭鉱切符というものがあります。

給料の代わりに炭坑切符と呼ばれる私製貨幣が支給され、会社経営の売店で食料や日用品と交換することができた。炭坑切符はある程度集めれば通貨と交換できるとされていたが、実際には交換されないばかりか責任者が交代すると紙切れ同然となった。すなわち一度炭坑にやってくると二度と帰れないというのが実情であった。

西表炭鉱(Wikipedia)

こういった場所での私的貨幣の発行目的として逃亡防止があります。

無報酬で働かせ続けると不満が溜まり反乱・逃亡のおそれがあるので、ある程度は報酬を渡す必要があります。

しかし現金は逃亡の資金にもなるので、かわりに私的貨幣を渡してそれで売店での買い物にとどめさせるわけです。

地下王国の経済規模・ペリカの流通量


漫画やアニメの描写を見るとすくなくとも100人以上の債務者が働かされています。ひとりあたりの月の基本給が910,000ペリカですが9割が借金返済と施設利用料に当てられるので、手取りは91,000ペリカ(9,100円!)しかありません。仮に200人ぐらいが給料を受け取るとして、月に2千万ペリカぐらいの貨幣が地下王国に供給される事になります。

日本円にして200万円ほどですから非常にささやかな経済規模です。

ペリカによる売店経営・賭場開帳の意義


売店経営は「地下という環境を考えれば」比較的良心的です。利益を帝愛側と班長側で折半している為、値段が高いことは高いのですが、飲み物は「キンキンに冷えてやがる」し、混ぜものや水増しといった不正も無いようです。

kinkin.png
飲み物はキンキンに冷えてやがります。

あくまで借金返済の為に働く債務者の福利厚生(?)とペリカの回収に重点を置いているようです。

月2~3回の賭場開帳の意義は過酷な労働を強いられている債務者のガス抜きでしょう。

参加費は300ペリカとこれも良心的(?)です。

高いテラ銭を取られる地上の公営ギャンブルよりよほどマシです。

漫画を読むとイカサマによる搾取のシステムに見えますが、あくまでそれは大槻班長が勝手にやっている事で、本来は単なる娯楽、息抜きのようです。

地下のような特殊な環境にしては意外と健全です。帝愛側としてもトラブルは困りますし。

もっとも班長にペリカを借りるとあとが地獄です(笑)

ペリカはエンデの言う腐る貨幣に近い?マイナス金利?


地下通貨ペリカの流通量が少ないのと売店経営が適正に行われている為、地下王国でペリカがダブついてインフレになるという事はないようです。また貯めこむのも後述の理由で現実的ではないのでデフレにもなりません。システムとしてはよく出来ています。

唯一大量にペリカを集める手段として月数回開帳される賭場がありますが、大量に集めたペリカの消費手段は50万ペリカの1日外出券しかありません。

外出を許可されるのは帝愛が認めた人物だけなので、実際は班長クラス、体制側の人間が多くなるでしょう。

偶然に賭場で大勝した人物が出てきても、せいぜい売店で豪遊するしかありません。

銀行が無いのでペリカの貯蓄や運用もできませんし、あまり多額のペリカをタンス預金するのも不安があります。

ペリカを貯めこんでもふさわしい大量消費手段が無い上に、貨幣としての信用が時限式(帝愛がいつルールを変更するか分からない)では、使うしかありません。

実体経済と貨幣経済のサイズがほぼ同じ(そう管理されている)なので、純粋に労働の対価としてのおカネという事になります。

明確に減価こそしないものの、労働の対価としての貨幣と言う意味ではエンデの言う腐る貨幣(自由貨幣)に近いものがあります。

もちろん不当に労働力を搾取されているわけですが……


地下通貨ペリカと大槻班長の運命


ペリカはあまり貯めこんでいると確実にペナルティがありそうです。金貸しとイカサマで不当に利益を得ていた大槻班長は、最後にカイジの逆襲にあって破滅しました。この時他の班長は大槻班長の地位保全に協力してくれなかったし、帝愛側は最初から不干渉です。

閉じた地下王国の貨幣システムの中で、不当かつ無用に蓄財しようとした大槻班長は地下王国の貨幣システムを理解していませんでした。

せいぜい年に一回ぐらい地上に出て一杯やるぐらいが適正で、貯めこんで温泉、避暑地、ハワイなどで豪遊しようとするのは明らかにやり過ぎです。

地下王国の経済規模を超えた計画を実現するにはカイジたちを不当に絞りあげ続けなければなりません。

この暴挙は地下王国の安定を脅かす可能性があります。

地下王国の安定の為に通貨制度を設計した帝愛グループ側から見ると、大槻班長は明らかにやり過ぎていたので、カイジが居なくてもいずれ何らかのきっかけで破滅していた可能性は高いでしょう。

※ちなみにカイジのスピンオフ作品、「1日外出録ハンチョウ」が連載開始しています。コミックが出たら買います。 それまではトネガワを読んでいます……!

(2017年5月31日追記)
「1日外出録ハンチョウ」の一巻が2017年6月6日に発売されました。

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