平成29年度税制改正の大綱


(最終更新:2018年2月24日 参考記事リンクを追加 )

(地方税)

〈個人住民税〉

(9) 上場株式等に係る配当所得等について、市町村が納税義務者の意思等を勘案し、所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化する。

平成29年度税制改正の大綱(1/8)(財務省)

「市町村が納税義務者の意思等を勘案し、所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化」マジですか!つまり住民税の方は源泉徴収のまま申告不要で、所得税の方は総合課税で配当控除を使えるって事ですか!

これは配当金生活者にとってすごい事ですよ。

ちょっと気になったのが、「明確化する」という文言。

ん?ひょっとして今までも解釈によってはできたりしたのか?

と、思ってググってみたらありましたよ。

意外と知られていないのが、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることです。

ただし、平成28年度現在では自治体によって対応はマチマチで、大阪市のようにHPで公表されている自治体もあれば、公表していない自治体もあり、公表していないからできないとうことでもありません。

できるかできないかは自治体に直接問い合わせる必要がありますが、平成29年度税制改正でこのことが明確化される予定で、平成29年度からはどの自治体でも可能になります。

この所得税と住民税で異なる課税方式を選択できるようになると、おいしいとこ取りができます。

配当所得は所得税では総合課税で、住民税では申告不要にすれば有利になるケースとは?(やまばた税理士事務所)


なんじゃそりゃあ!できたりできなかったりしたのかよ!税金ってこういういい加減なところありますね……

上場株式等の譲渡損失の繰越控除や損益通算をしたら住民税の申告も検討しよう

↑ここによると税理士でも知らなかったという人がいるようです。

何というスキマ情報……!

改正法案は2017年2月6日に国会提出されてすでに衆議院で可決されています。

正式に法律化されて明確になれば、税理士でも知らない人がいるという状況にはならないと思います(汗)

(追記)

2017 年度改正税法により所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることが明確化、地方税法が改正されました。

所得税と住民税で別々に課税方式を選べると何が有利なのか?


ピンときていない一般の方にカンタンに説明すると、配当金の税金は源泉徴収されて普通はそこで終わるんですけど、株式等の譲渡損と損益通算をしたり配当控除を適用するために確定申告する場合は申告分離課税か総合課税を選べます。

そこで総合課税を選ぶと「配当控除」が適用されるので、いったん源泉徴収された税金が還付されます。いっけん良い話のようですがここで注意すべきは、配当金を申告してその分総合課税の課税所得が増えると、住民税の計算にも影響してくることです。

さらに国民健康保険の保険料は多くの自治体で住民税の課税所得を基準に計算しています。

つまり単純に配当金を全部総合課税にしてしまうと、国保の保険料の支払いが激増する可能性があるのです。

国保の保険料、高いですよね……

今までは配当控除を受けるメリットと保険料が上がる可能性があるデメリットを勘案して、どちらが有利かという複雑怪奇な計算をして損益分岐点を割り出す必要があったのです。

国保以外にも色々と判定に影響が出てくるので、税金だけでなく社会保障制度の広い知識も必要ですしね……

素人には手に余る、だったら面倒なので源泉徴収ありの特定口座で確定申告しないでいいや、という人が多かったはずです。

ところが今回の改正によって、国保の保険料に影響を及ぼさずに配当控除分だけ税金が安くなる、という方向性が明確に出てきました。

実際の手続き


・税務署に配当所得の所得税を総合課税で確定申告する。これで配当控除が受けられます。税務署で確定申告すると自動的に情報が市区町村に回り通常は住民税も所得税と同じ課税方式になります。

それでは保険料などが上がってしまうので、それを避ける為に次のステップ、

・市区町村の税務申告窓口に、住民税の申告書を提出する。住民税では配当所得に対する課税は源泉徴収で終わらせ、申告不要としたいところです。申告不要制度を利用するために住民税の申告書を提出するというおかしなことになりますが、現状では手続き上仕方がありません。

住民税の申告書を提出しつつ、その上で上場株式等の配当所得については記載しない事により、申告不要制度を利用する事になります。

関連記事:【配当所得】所得税と住民税で別々の課税方法を選択する手続きについて市役所で聞いてきました【譲渡所得】

配当金生活には確実に追風


課税所得金額が900万円以下であれば、上場株式等の配当については所得税で総合課税を、住民税で申告不要を選択すれば、最も有利な結果になります。

配当の金額が大きければ大きいほど効果がありますので、上場株式等の配当が多い方は検討してみましょう。

配当所得は所得税では総合課税で、住民税では申告不要にすれば有利になるケースとは?(やまばた税理士事務所)


今までは所得税で総合課税を選ぶことが必ずしも有利とは言い切れない状態でした。国保の負担増が強烈で、そのため源泉徴収で済ますか申告分離課税を選ぶことがとりあえず無難だったのですが、影響をおよぼさないという事になると景色が変わってきます。特に配当の金額が大きければ大きいほど有効というのは、配当所得が多い配当金生活というスタイルには確実に追い風になります。

これで国や地方の収入が減らないかな?という心配をする人もいるかもしれませんが、私はそこまでは心配ないと思います。

確定申告すら面倒くさがってしない人が多いのに、こんなマニアックな情報を見つけてきて、その上に面倒な書類作成を増やしてまで住民税の申告を別々にやる人がそうそう居るとは思えないからです。

※この記事はなるべく正確を期していますが、私は税理士ではなく無資格の素人です。実際の申告にあたっては専門家に確認して下さい。

外部参考記事:上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し(大和総研)
外部参考記事:株式等の配当所得等および譲渡所得等の申告・課税方法(大阪市)
外部参考記事:今回適用される配当所得の節税とは? 住民税から申告(日経電子版)
外部参考記事:まだ間に合うかも! 所得税と住民税を「戦略的」に申告して社会保障制度を有利にする(マネーの達人)

※2017年4月13日更新

この記事を読んで実際に申請された方のブログ記事:株の配当を所得税と住民税で別々の課税申告をしてきた。(あとは好きに暮らす)

参考記事:米国株(外国株)の配当金生活は(税制面で)不利すぎる!

※2017年9月24日更新

以下の大和総研のサイトを参考に更新しました。

外部参考記事:2017 年度改正税法のポイント(個人編)(大和総研)

※2017年9月30日更新

関連記事:リンク追加。日本株式1億円、年間配当300万円。確定申告でいくら税金を減らせるか?を書きました。

※2018年1月17日更新

関連記事:リンク追加。【配当所得】所得税と住民税で別々の課税方法を選択する手続きについて市役所で聞いてきました【譲渡所得】を書きました。

※2018年2月24日更新

外部参考リンク:上場株式等の住民税の課税方式の解説(法改正反映版)

大和総研のリンクを追加。決定版なので、リンク先のPDFを読み込んで完全に理解すれば間違いないです。