[東京 23日 ロイター] - 東京証券取引所によると、23日の東証空売り比率は50.3%となった。3月2日の48.8%を上回り、市場筋によると過去最高を更新した。50%を上回ったのは初めて。株安を見越した短期筋が空売りに動いたことが反映されたとみられている。


東証が発表する「空売り比率」が初めて50%を超えたというニュースです。

このニュースが意味するものは何でしょうか?

「空売り比率」が高水準だから、近く空売りの買戻しが入り相場は反発する、という解説も見かけることがあります。

しかしこれは正確な表現ではないし、もし空売り比率の意味を誤解した人の発言なら全く正しくない可能性もあります。


より正確に言うと東証が発表しているのは「空売り集計」の数字です。

立会市場で成立した株式・ETF・REIT・新株予約権証券の売買取引における空売りの売買代金を集計して掲載しています。

空売り集計(JPX)のページ


東証の発表する空売り集計は、実注文の売りと、空売り(価格規制あり)と空売り(価格規制なし)の比率が分かるようになっています。

おおざっぱに言えば、(価格規制あり)の空売りは相場の下落によって利益を得ようとする機関投資家、(価格規制なし)は個人投資家の空売り(個人投資家の空売りは規制がゆるい)だとイメージすればいいでしょう。

(※本当は指数先物との裁定取引などの価格規制なし空売りもありますが個人投資家にはあまり関係ないので割愛します)

実注文の売りと空売りの売買代金の合計のうち、空売りの占める割合をあらわしたのが空売り比率です。


東証の発表する空売り比率とは、本当にただその日の売りの売買代金に占める空売りの比率を表したものに過ぎません。

信用取引は回転売買が可能なので、一日に何度でも空売りと買戻しを繰り返す事ができます。

つまり東証空売り比率50%超えのニュースの意味とは、この日は空売りの取引が非常に多く成立したんだな、というだけであり、このニュース単体で今後の信用取引の需給を占う事はできません。

空売り比率が50%を超えたから空売りが多く、近く空売りの買戻しが入って相場が反発するとはただちには言いきれないわけです。

そういう需給の読み方をするなら、当日の空売り比率だけでなく、前後の空売り比率も観察してその変化を見る必要があります。

空売り比率がピークをつけてから、下がっていくようだと売りの勢いが減っているので反発が近いかもしれませんし、空売り比率がずっと高水準を維持していれば、売りの勢いが続いているので下げが続く可能性が高いかもしれません。

ロイターの記事にも空売り比率は40%を超えると高水準、と解説がありますが、今年に限って言えば2月あたりから40%超えが普通になっています。

空売りの勢いが強く回転売買がさかんになれば空売り比率は上がっていくわけで、50%は驚く数字ですが、空売り比率の数字はその変化を観察していかなければならないわけです。

空売りが多いから買戻しの買いが入るといった需給の読み方は、「空売り比率」単体ではなく、基本ですが累積ベースの信用売り残高を見るべきです。

短期的な空売りの勢いがさかんになり日計り(デイトレード)で完結する空売りが多くなると、「空売り比率」は上がっても信用残の数字にはあらわれにくいのです。




松井証券の「ネットストック投資指標」は信用残高や信用評価損益率を確認するのに便利です。松井証券の当日分のデータが当日夕方には集計され確認できます。ただし当日分のデータを確認できるのは口座開設者だけなので、あらかじめ口座を開いておきましょう。





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・補足

「空売り比率 定義」などで検索すると、証券会社の用語集などがヒットします。そこにはこのような説明があります。

空売り比率(からうりひりつ)

分類:取引(売買)
投資家が株式の信用取引において、空売り(信用売り)したまま買い戻していない残高を出来高で割った比率。空売り比率が高いと空売りの買戻し期待が高まり、株価上昇の要因となる。

空売り比率(%)=(売残株数÷出来高)×100

証券用語集(野村證券)



しかしこれは空売り比率の説明であっても、東証空売り比率の説明ではありません。東証空売り比率は「空売り(信用売り)したまま買い戻していない残高を出来高で割った比率」ではないからです。これだと信用取引の回転売買を考慮していない説明になってしまいます。どうもこのあたりが空売り比率の見方に誤解が生じている原因のようです。

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