- 投稿 2018/11/05 更新
- 配当金生活 - 配当・株主優待
配当金狙いで日本株を買う人(初心者)で、銀行株、証券株、総合商社株、自動車株などを買う人が多い。これらは配当金狙いでは避けるべき銘柄で、配当金生活者にとっては常識なんだけど初心者には浸透していない。ザイなんかの初心者向けの雑誌に推奨銘柄として載っているからだ。
— ひとり配当金生活-さいもん (@hitori_haitou) 2018年11月3日
tweetに反響があったのでこのテーマについて書いてみます。業種ごとの記述になるのでまずは銀行株から。
業種ごとの話に入る前に景気循環株(シクリカル銘柄)について軽く触れておきます。
高配当株投資の罠で取り上げる業種の株は全て景気循環株(シクリカル銘柄)に属します。
株式投資のひとつの理想形として、会社の成長と共に利益が増えていき、配当も増え、それにともなって順調に株価が右肩上がりに上がっていく、優良成長株投資があります。
景気循環株(シクリカル銘柄)はそれとは違って、企業の成長が鈍化していて、かつ景気の影響を受けやすく、景気の回復、拡大、後退、悪化の4サイクルに沿って株価が行ったり来たりを繰り返す銘柄群です。
優良成長株に比べれば夢が無いかもしれませんが、タイミングよく不景気の時に買って、好景気の時に売るを繰り返せば、一回のサイクルで抜ける利益が元手の数倍から10倍以上にもなることがあるので、実はプロの好む銘柄群でもあります。
しかし初心者にとっては好景気の時に高値で買って、不景気の時に安値で売るはめになりかねないので、一番損しやすい危険な銘柄群なのです。
景気後退に入ったら、不景気でもまだ利益成長に期待できる成長株と違って夢も希望もありませんからね。
景気悪化に連動して利益も減るから財務の余裕が無ければようしゃなく配当も減らされますし。
これで話の半分は終わったようなものですが、続いて業種ごとの話に入っていきます。銀行株からですね。
銀行株は3大メガバンクとりそな銀行などの準メガバンク、その他の地方銀行に分けられます。あとゆうちょ銀行がここに新しく入って来ました。
まず絶対潰れない、というか大きすぎて潰せないメガバンク(とゆうちょ銀行)をどう考えるか。
みずほやUFJは一時期は潰れるかもと言われた銀行です。
リーマンショックよりももっと前の話です。しかしかつての都市銀行は合併を繰り返し公的資金を注入され、その返済も終わって残った3大メガバンクはもう潰れる事はないかもしれません。
高配当株投資の観点からは潰れる心配が無いという点では向いているかもしれません。
三菱UFJ(8306)、みずほFG(8411)、三井住友FG(8316)、ゆうちょ銀行(7182)は誰でも知っている銀行ですし馴染みがあります。ブランドなので株を買いやすいかもしれません。
しかし景気循環株なので不景気になれば株価は下落しますし、財務に余裕が無くなれば減配の可能性があります。アベノミクス以降は増配傾向なので配当を維持したまま株価が半分になれば凄い高配当株になりますが、ちょっと考えにくい状況です。
株価が半分になったら配当利回り5%でも損失を取り返すだけで20年もかかってしまいます。
株価下落の可能性があるということは上昇の可能性もあるだろ?悲観的過ぎるんじゃないか?と思うかもしれませんが、残念ながらその上昇余地が少ないのが銀行株の問題点です。
銀行は儲かっていません。
従来型の手数料ビジネスは行き詰ってるし、マイナス金利の影響で貸し出し金利が低下して金貸しで儲ける事もできません。
店舗数も多すぎるし人員も過剰で合理化に必死です。
現に景気拡大がずっと続いて他の業種の株価は上がり続けているのに、銀行株は伸びていません。好景気の時にこれでは不景気になったらどうなるのか。
また銀行株は過去の経営難の時に増資を繰り返しているので発行済株式数が非常に多く上値がとても重いです。
一部株価が上がっている銀行株もありますが、基本的に保有する有価証券の値上がりが評価されているものです。いったん株価が下がれば値上がり益で評価された銀行株はそれ以上に下げる可能性があります。
つまり銀行株は上昇余地が少なく、いったん下げ始めると下げ足が速いのです。
これがメガバンクや準メガバンクの話ですから、規模の小さい地方銀行などはもっと厳しい状況です。
うまくタイミングを読んで売買するような人ならともかく、ずっと株式を保有して配当金を貰い続けるスタイル(配当金生活)には銀行株は向いていません。
時価総額の大きな銀行はのんべんだらりと買っていたらあまり報われるとは思えないし、時価総額の小さな銀行はじり貧のうえ危機時に吹っ飛ぶ可能性があります。