カテゴリー:資産運用

米国株で年7~9%で長期安定的に運用すれば複利の力で500万円が30年で4000万円以上に~といった皮算用をよくネットで見かけるのですが、これは夢物語でしょう。

理由はアメリカの成長率やインフレ率が長期的に見るほど鈍化していくのと、そもそも米国株価指数という暴れ馬の毎年の変動率が大きすぎて30年程度では運用が落ち着く保障がどこにも無いからです。

ピーター・リンチもこう言っています。

1973年~74年の暴落の時も、誰も予測できなかった。当時私は大学院にいて、株式市場は年間9%上昇すると習ったのに、それ以来上昇率が9%であった事はなかったし、その後も、どの程度上がるかよりも、もっと単純に相場が上がるのか下がるのかを教えてくれる、信頼に足る情報筋さえもいまだに見つからない。大きな変動はいつでも私もびっくりさせ続けている。

「ピーター・リンチの株で勝つ」より引用

1970年代前半に大学院で「株式市場は年間9%上昇すると習った」ピーター・リンチもいきなり大暴落(1973年のオイルショック。40%以上の大暴落で株式の死と言われる長期間の停滞)を目にしているし、それ以後もちっとも株価は落ち着いていません。神の視点で過去を見れば上昇しているというだけです。
殆どの人間の資産形成期間である30年は神の視点で見ればまだ長期とは言えないでしょう。ずっと下がり続ける事だってありえます。

では100年ならどうか。

100年後の米国株価指数について、バフェットは2017年に「NYダウ平均が100年後には100万ドルを超える」と発言しています。

2017年当時のNYダウ平均は2万3000ドルぐらいなので、これが100年で100万ドルを超えるとすると、複利運用での平均年間リターンは3.85%と逆算されます。

バフェットは今後のNYダウの超長期の平均年間リターンを、この程度に見積もっている事が分かります。7%でも5%でもないので、やや弱気な予想でしょうか。

今後100年という投資期間では確かにこのぐらいに落ち着くかもしれませんし、額面で43倍という結果には複利の威力を感じさせます。

しかしその前半の30年で実際にどういう株価推移を辿るかは誰にも分からないし、毎年きっちりその通り上がり続けることはまず無いという不確実な世界です。最初の30年ずっと横ばい又はマイナスでも100年でこの数字は達成できるのですから。

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ピーター・リンチは株で成功する資質について次のものを挙げています。

忍耐強さ、自主性、常識、苦痛についての耐久力、こだわりのない自由な思考力、利害に対して超然としていられる強さ、根気、謙虚さ、柔軟性、独自の調査をする意欲、失敗を認める強さ、パニックを無視する力

「ピーター・リンチの株で勝つ」より

知能指数や要領の良さ、学歴や資格、知識量といったスペックの高さよりは、どちらかというと言うとメンタル面の強さ、安定性に重点が置かれていると思います。

スペック面では人並み以上あれば必要十分で、仮に人並み以下でもそれ以上の意欲さえあれば十分に補うことができるでしょう。

株式投資に高等数学は必要ないし、財務諸表が読める必要も必ずしもないでしょう。

競馬を予想するのに馬事文化を深く知る必要は無く、競馬新聞の馬柱(株で言うと四季報)の意味が分かれば十分です。

それより精神的なねばり強さ、折れない心が必要です。

いつか成功するまでは徹底的に気長に株式市場に居座ってやる、といったしぶとさが重要です。ヤケを起こした者から消えていく世界です。

神経が鋭敏な人は株式投資に向いておらず、どちらかというと鈍感でトロいような人の方が向いていると思われます。ささいな事で動じないからです。

私は趣味で射撃をしていた事があるのですが、射撃の世界では「射撃馬鹿」という言葉があります。

射撃の的は普通は動いていません。

それなのに撃っても当たらないのは何故かと言うと答えは簡単で、射撃は呼吸を止めて(あるいは吐きながら)静止した状態で撃たなければいけないのに、神経過敏な人は落ち着きが無く引き金を引く時に動いてしまうからです。

だから「射撃馬鹿」と言われるような一見トロい人の方が良く当たると言われています。

株式市場は年中毎週開かれていますが、勝手に動いて勝手に自滅するのはいつも参加者の方です。

株式投資で負ける人の典型的な例は株価を基準に株を買っている人です。

株が買われるから株価が上がる、株価が上がるから株が買われる、このくりかえしの果てにバブルが発生するわけですが、言い換えればこれは人の後追いで株を買っている人の行動です。

バブル崩壊に巻き込まれるのは株価を基準に株を買っている人、人の後追いで株を買っている人、人気を追いかけている人です。


言うまでもなく株を買う基準は企業の本来の価値にあります。本来の価値というのは現在の価値と将来性ですね。

まず企業価値を見積もって、それから株価を見る。

企業価値に対して株価が安ければ買い、高ければ売り、シンプルな話です。

まず企業価値を見る、このシンプルな原則に従っている人が破産する事はまずありませんが、先に株価を見て行動を決める人は破産する可能性があります。

赤の他人同士の取引でついた株価に行動を左右され、振り回されているからです。


自分で情報を集めて、自分で考えて、自分で決断する人は株式投資で成功しやすいでしょう。

他人の集めた真偽不明の情報を読んで、他人の考えに影響されて、自分以外の何かに動かされて決断する人はまずまず失敗します。


揺れ動く株価を見ながら投資を考えるが最悪なのは、株価が赤の他人同士の取引の結果付いたいいかげんな値段であり、そんなものに左右されて行う決断にはどこにも自分というものが無いからです。

他人に左右されると言えば、新聞、テレビ、ネットメディア、Twitter、人気投資ブログなどのメディアの影響が大きいです。

そこでこれらのメディアの情報はあくまで事実だけを見るようにして、人の意見は無視し、人の推奨には乗らない事を強くおすすめします。

それが人気のメディアであればあるほど、単なる人気の後追いになるからです。

群衆心理に飲まれてしまっては全く冷静な判断ができません。

自分の決断に反対する人が多ければ多いほど、成功の可能性が高いのが株式投資です。

逆に賛同者が多ければ多いほど不安をおぼえるべきでしょう。どこかで聞いた情報や赤の他人の見解をもとにした、単なる人気の後追いになっている可能性があるのですから。

人気ブログ(人気メディア)の見解よりも、例えどんな稚拙な考えでも、事実を元に自分だけで考え抜いた末の決断の方が株式投資では価値があります。

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相互リンクしているブログ、共働きサラリーマンの家計簿の「shunponはてなブロガー」さんがJT(2914)を買う事を決断し、連日買い注文を出しながら、結局今に至るまで買えていない、という事態がTwitter上で観測されました。

わざとやってるんじゃないか、いったいどういう指値(さしね)の出し方をしているんだと思い、Twitterのログを漁りながら分析してみる事にしました。

本人の了解を得たネタ記事ですが、初心者向けの指値(さしね)のやり方指南記事にもなっています。


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Twitterのログから、10月22日(月)にJT(2914)を買う事を検討(買うか買うまいか悩んでいた?)して、10月23(火)~10月26(金)に指値(さしね)注文を出して購入を試みた事が分かっています。

おそらく100株のみの購入なので、ナンピン3分割法は使えません。一発勝負になります。

関連記事:配当金狙いの株の買い方の一例

まず10月23日です。

この日の指値は2850円です。

この2850円は直近の最安値なので、ここまで下がったら買いたいという事で、これはまあ良いでしょう。

結果は安値が2883.5円なので、買えていません。まあ仕方ないですね。

【ポイント】直近の最安値で指す事自体は悪くないが、買えない可能性はそれなりに高い

2日目の10月24日。

この日の指値は不明ですが、安値2890.5円で買えていないので、注文を出していたとしたらそれ以下の指値でしょう。

おそらく前日と同じ2850円でしょうか?それともこの日は買い注文を出さなかったのでしょうか?

終値が2942.5円だったので、結果的にはこの週で一番株価が高い日でした。

【ポイント】買う事を優先するなら最安値に拘るのは良くありません


3日目の10月25日。

この日の指値は2900円という申告がありました。

おそらく、前日の高値を見ての修正でしょう。

これなら展開次第で買えそうですが、結果を見ると買えていません。

4本値(始値、高値、安値、終値)を見て気が付いたのですが、この日の始値は2892.5円で、安値は2890.5円です。それなのに2900円が買えていない。

ということは、朝イチ場が開く前ではなく、場中か昼休みに注文を出しているという事になります。

……何をやっているんでしょうか。

【ポイント】指値は株価を追っかけてはいけません。値が動いている時ではなく、前日の冷静な時に指値を出しておきましょう。


4日目の10月26日。

この日は場が開く前に2850円の指値を出したという申告がありました。

市況が連日大荒れになっていたので、ここまで落ちてくると踏んだのでしょう。

こういうのを証券用語で「安値覚え」と言います。

安値覚え (やすねおぼえ)

過去に下落した局面での株価水準を忘れることができず、相場の流れが変わって上昇基調に転じても、いずれは値下がりすると思ってしまうこと。

大和証券 金融・証券用語解説

この日の安値は2892円だったので、かすりもしていませんが、それはまあ良いのです。

次のtweetを見た時に私はずっこけましたね。

こいつ(失礼)指値を変更している?

この日の始値は2910円で安値は2892円なのだから、指値2850円には全く届いていないので惜しいはずはありません。

おそらく昼休みに、2880円あたりに指し直したのでしょう。

【ポイント】株価を追っかけて指値を変えてはいけません。というか前日は2900円で指してただろ?



分析してみると全体的には、とにかく最安値で買いたいという欲が見えます。

そのせいか指値がひんぱんに変更されています。

例えば25日に2900円で指した時にそのまま週末まで忘れていれば、いくらでも約定したのです。

指値のやり方のコツというか心得は、

・株価を追いかけず、待ち構える
・場が開く前、できれば前日に冷静によく考えて注文を出しておく
・指値を決めたら少なくとも場中には変更しない。変更するなら指値をやめて成行(なりゆき)で買う
・「安値覚え」は買えない可能性が高い
・注文は当日限りではなく期間指定ができるので、指値が決まったら日をまたいで放置しておく

このくらいでしょうか。

この記事はあくまでネタ記事であり、shunponさんでなくても初心者の頃はだれでも指値の失敗はあると思います。

最初は誰でも初心者です。

指値で買いたいのにいつまでたっても買えない人は参考にして下さい。

ナンピン3分割法が使えればもっと楽に買えるので、予算が許せば3単位買うのもアリです。

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どうしても自分は指値が使いこなせないと思ったら、性格的に向いていなのかもしれません。

その時はいさぎよく成行で買って下さい。

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