カテゴリー:配当・株主優待

この辺は誰でも薄々気づいていると思いますが、配当・優待利回りが飛びぬけて高すぎる株は危険です。

配当利回りが高すぎる株は減配の危険が、優待利回りが高すぎる株は優待改悪・廃止の危険が潜んでいます。


ただ配当利回りが高すぎる株はそうなった理由がちゃんとあるはずなので、その分析は可能です。

財務状態をチェックして、将来の減配の可能性が薄いと判断できれば、株価が下がっている(配当利回りが高くなっている)だけでは危険とは判断できません。

もちろん株価が自分の知らない(公表されている資料にない)悪材料を織り込んでいる可能性はありますが、これを言い出すと今度は株価の動きに振り回される事になります。

経験を積むとインサイダーっぽい株価の動きはなんとなく分かるようになってくるかもしれませんが……これもあまりにも感覚的な話なのでおおやけには言わない方が良さそうです。

結局確かなのは会社の業績と財務しかありません。配当利回りは減配の可能性が無いなら、という条件ではそれなりに信頼のおける指標です。


一方で株主優待利回りが高すぎる株、これはかなり危険です。

優待利回りが高すぎるのは株価が下がり過ぎているからですが、配当と違って株主優待は財務状態の裏付けなしでも出す事ができます。

赤字や業績がボロボロの会社でも無理して株主優待を出し続ける事は可能なので、株主優待を出し続けているという事実が何の安心材料にもなっていません。

いつ優待が改悪・廃止されるか不安を抱えたまま投資し続ける事になってしまいます。

優待利回りが異常に高いのに株価が上がらない、この状態、こればかりは株価の方が正しいと言えます

株主優待の新設・改悪・廃止は株主総会の決議を経ずに決定できるので、経営陣の胸先三寸で決まってしまいます。

株主優待の存在を投資の根拠にするのはあまりにも危ういので、あくまでオマケとして考えましょう。優待利回りの高さを理由に投資を考えるなどもっての他だと思います。

このような危うい株主優待ですが、実際問題として株主優待が株価に与える影響(ノイズ)はかなり大きいので、日本株に投資する場合は株主優待の有無もチェックせざるを得ません。

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東京証券取引所は12日、ソフトバンクグループ(SBG)の通信子会社「ソフトバンク(SB)」の上場を承認した。12月19日に東証に上場する。SBGは保有する通信子会社の株式を売り出すことで、最大約2兆6000億円を調達する見通し。新規上場で市場から調達する額としては、国内で過去最大になる見込み。

ソフトバンク通信子会社が上場です。調達金額の2兆6000億円は一銘柄で東証一部の一日の売買代金を超えていて東証全体の一日の売買代金に匹敵する金額です。とんでもない超大型IPO案件になります。

ソフトバンク通信子会社は高配当株というアナウンスがあったので、いつも通り配当方針から確認していきます。

2.株主への利益配分等

(1)利益配分に関する基本方針

当社では、中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆様に利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。配当については、安定性・継続性に配慮しつつ、業績動向、財務状況及び配当性向等を総合的に勘案して実施していく方針です。

(2)内部留保資金の使途

内部留保資金については、今後の企業としての成長と、財務基盤の安定のバランスを鑑みながら、有利子負債の返済、設備投資、M&A 等の投資等に充当していきます。

(3)今後の株主に対する利益配分の具体的増加策

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としています。また、純利益に対する連結配当性向 85%程度を目安に、安定的な1株当たり配当の実施を目指しますが、現時点においては、利益配分の増加策の具体的内容について決定しておりません。なお、2019 年3月期の期末配当については、株式上場から当該期末配当の基準日までの期間を勘案し、連結配当性向 85%の2分の1程度を目安として期末配当金額を決定する方針です。

株式の売出しに関する取締役会決議のお知らせ(ソフトバンク株式会社)

配当性向85%程度が目安とあります。

外部記事:ソフトバンク通信子会社、今期連結純利益5%増の4200億円

日経新聞の記事によると今期配当は1株あたり37円50銭を計画しているということです。

これは期末配当なので年間配当は2倍の75円とすると、会社が想定する1株あたりの売り出し価格は1500円なので配当利回りはちょうど5%になります。

立派な高配当株と言えますがIPOの初値やその後の株価推移はどうなるのでしょうか。

日経の記事にもありますがNTTドコモ(9437)やKDDI(9433)の株を売ってIPO資金に充てる、いわゆる換金売りが発生するようだと12月19日までの株価の押し下げ要因にもなります。

他の通信株の株価が下がって配当利回りが上昇するようだと、そちらの方も狙い目になるかもしれません。もちろん新規上場のソフトバンク通信子会社株も、配当利回りによっては狙い目になります。

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KYB(7242)は6日、2019年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が23億円の赤字(前期は152億円の黒字)となる見通しだと発表した。
(中略)
これに伴い、4~9月期の中間配当は無配(前年同期は7円)とすると発表した。


外部リンク:剰余金の配当(中間配当無配)及び期末配当予想の修正に関するお知らせ

高配当株のKYB(7242)が中間配当無配を発表しました。期末配当については未定だそうです。

 

当社は、株主の皆様への適切な利益還元を経営上の最重要課題の一つと認識しており、2017年度より、連結配当性向 30%を目指しつつ、従来の連結ベースの株主資本配当率(DOE)2%(年率)以上の配当を基本方針としております。これに基づき、当期の中間配当につきましては、1 株につき 70 円とする方針としておりました。

 しかしながら、本日公表いたしました「免震・制振用オイルダンパーに係る製品保証引当金等の計上及び第 2 四半期連結業績予想と実績の差異並びに通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」のとおり、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に起因する損失を主要因として、2019 年 3 月期第 2 四半期の業績は当初予想を大きく下回ることとなりました。加えて、本件に係る交換工事に要する費用並びに交換工事の実施に伴って発生する補償等の付随費用といった将来の業績悪化要因の影響を現時点で見通すことが困難な状況であるため、誠に遺憾ではございますが、中間配当を見送ることを決議いたしました。

なお、期末配当につきましては、今後の経営環境の見通しの不透明感から、未定とさせて頂き、当社配当方針、株主還元の継続性と、今後の業績影響、財務健全性等を総合的に勘案した上で、見通しが得られ次第速やかにお知らせいたします。

いきなり無配になりました。

いちおう、期末は未定なのでそちらの方で配当が出る可能性はあると言えばあるのでしょうが、何せ会社自身が何も見通しが立たないと発表している酷い状況なので、インサイダーでもない外部の人間にとっては何も判断できる事はありません。

以前にも赤字の時はありましたがその時は株主資本配当率(DOE)2%(年率)以上の配当方針に基づいて、ちゃんと配当が出ています。

今回は損失の見通しがまだ全く立たないので、配当方針に基づいた配当額を算出できない、よって中間配当はとりあえず無配。期末の方はまだ未定という事らしいです。

外部リンク:免震・制振用オイルダンパーに係る製品保証引当金等の計上及び 第 2 四半期連結業績予想と実績の差異並びに通期連結業績予想の修正に関するお知らせ

上記の予想につきましては、本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって予想値と異なる可能性があります。免震・制振用オイルダンパーに係る製品保証引当金につきましては、現時点において信頼性のある見積りが可能な費用についてのみ計上しております。なお、本件の今後の進捗により、これらに関連して発生する交換工事に要する費用並びに交換工事の実施に伴って発生する補償等の付随費用について信頼性のある見積りが可能となった時点で当社の連結業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。


色々と憶測できる事はありますが、事実として中間配当は無配だし、今のところ(最悪の場合は)期末配当も出ないものと思っていた方が安全ではないでしょうか。

会社が分からないと言ってるものを投資家があれこれ言っても仕方が無いですしね。

関連記事:株主資本配当率 (DOE)とは。KYB(7242)の場合。

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日本航空(JAL)やANAホールディングスが発行する株主優待券が金券店で異例の高値をつけている。前年同時期に比べ8割高~2.4倍の水準だ。背景には、ある事件を契機とするコンプライアンス意識の高まりがあるとの見方が多い。

日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)の株主優待券は換金性が高いので有名です。

換金性の高い優待はこういう所でも問題があると思います。

外部リンク:みずほ銀行元次長を在宅起訴 職場で盗んだ株主優待券を換金、1億2千万円脱税 東京地検特捜部(産経新聞)

みずほ銀行の事件はこの件です。2018年3月の事件だから約半年後の優待券相場に影響が出てきたと考えればつじつまが合うような気がします。

関係者によると、堀田被告は、みずほ銀行決済営業部で、海外の機関投資家から預かった株主優待券を管理していたが、処分すべき株主優待券を職場で盗み、換金していたことが昨年9月に発覚し、同年11月に懲戒解雇されていたという。

海外の機関投資家は優待券を受け取れないし(株主優待は国外に発送しないのが普通)受け取っても仕方が無いので、銀行の方で破棄処分する契約があるそうです。

銀行内部のチェック体制とかどうなってるんでしょうね。他の銀行とかのコメントは見つかりませんでした。

この事件の影響で、コンプライアンスを気にして金券屋に優待券を持ち込む企業が減って優待券の供給が減った……その結果優待券の相場が高騰しているのではないかという推測です。

実際、都内の金券屋では例年に比べ持ち込まれる量が減っているそうです。

今までどれだけ換金していたんでしょうかね。


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海外機関投資家の優待も気になりますが、国内機関投資家の優待も気になります。

建前は換金したり寄付したりして適正に処理しています、という事でしょうが、換金するのは業者に丸投げだろうし、換金しにくい優待の処分は適切にやっているのか、経営陣もあまり関心が無いのではないかと思います。

現にみずほ銀行で内部のチェックが働かずに事件化している訳ですし……


GPIFは質問にこのように回答しています。さすがに国民の財産を預かるGPIFはきちんとしているとは思いますが。

GPIFも換金も寄付もできない、生鮮食料品の優待などは仕方なく破棄しているそうですし、こうして見ると株主優待というものは機関投資家にとっては厄介ごとの種でしかありません。

企業にとっても不正や規律の緩みの温床になっている気がします。

理想論を言えば株主優待は全廃した方が良いとは思いますが、現実的には今すぐというのは無理です。それどころか優待実施企業は年々増えてきました。

しかしGPIFのようにはっきり回答している機関投資家があったり、みずほ銀行の件のように不正が表に出てきたり、優待券の相場に影響が出ている所を見ると、昔ほど何でもやりたい放題ではないでしょう。

株主優待制度が少しでも良い方向に向かえば良いなと思います。

関連記事:究極の大株主であるGPIFの得る優待利回り

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