カテゴリー:社会保障(年金・国民健康保険)
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副業ブームですが、税金面で損が無いからと言って、安易に開業すると会社を辞める時に失業保険が貰えなくなって困るかもしれません。


 

開業届を出して青色申告すると65万円あるいは10万円の特別控除が利用できるのでとりあえず何も考えずに開業届を出す……とこうなる恐れがあります。


 

余談ですが、この「女騎士、経理になる。」はおすすめです。

女騎士「くっ…殺せ!!」 オーク「ガハハ!! そうはいくか!!」 オーク「今日から貴様はウチの会社の経理のお姉さんだ!!」

という単なる出オチの漫画かと思えば、読んでいくと経理の基本的な知識が学べる仕組みになっています。


失業保険を受給する条件のひとつに、「失業の状態にあり、ハローワークに求職の申し込みをすること」というものがあります。働く意思と能力がありながら失業の状態にある、という事を証明するためにハローワークで求職の申し込みをする訳です。開業届を出していると会社を辞めても失業者ではなく自分の意思で事業を行う個人事業主であるというこになります。よって失業保険はもらえなくなります。

厳密に言うと開業届の提出の有無や実際の収入に関係なく、開業の意思があり準備を始めている時点で受給資格が無くなります。ただ実際には開業届の提出やハローワークの職員に開業の意思がある事を伝えた時点で決まるようです。判定するのはハローワークなので。

※ただし2014年に厚生労働省から「求職活動中に創業の準備・検討をする場合」を失業手当の給付対象にするとの通達も出ています

※外部参考リンク:起業準備中も失業手当(法律事務所ホームワン)

逆に言えば開業の意思や事実さえなければ、他の収入があっても失業者の判定になります。配当金、家賃収入などで生活できていても条件を満たせば失業状態の扱いになるので、失業保険は問題なく受給できます。開業して事業としてこれらの投資を行っていればダメという訳です。

ちなみに失業保険を不正に受給してバレた場合、不正に受給した基本手当等の全額の返還とその2倍の金額の返還が命じられ、「3倍返し」となります。恐ろしいので絶対にやめましょう。

あまり知られていませんが、失業手当を受給中の人が再就職したり事業を開始した場合には実質的なお祝い金として「再就職手当」が支給されます。ダラダラと就職活動されても困るのでちゃんと早く再就職した場合のインセンティブは用意されてる訳です。

外部リンク:再就職手当のご案内(PDF)

だから会社を辞めて個人事業と不労所得を組み合わせてセミリタイアを考えている人は、税制だけでなく社会保険制度もよく考慮して開業届を出す時期を決めましょう、という話でした。ただ実際に動き始めてみないと分からない事も多いですよね。

まあ年金には保険の性格と福祉の性格があるので、株式や投資信託のように利益とか損失とか言う性質のものではないかもしれません。

それでも人は損とか得という言葉に敏感なので、繰り下げがお得だ、いや損だという話題には反応してしまうのでしょう。

何をもって損かというのも微妙ですが、まず年金支給を繰り下げ待機していて、70歳になるまでに死亡してしまったら1円も貰えないのではないか、何のために今まで年金保険料を払ってきたんだ、という疑問があると思います。

結論から言うと年金を繰り下げ待機していて70歳になるまでに死亡した場合でも、年金はちゃんと貰えます。

もちろん本人は死亡しているので貰えませんが、遺族が貰えます。

遺族というのも結構範囲が広くて、以下の通りです。

1.未支給年金を受け取れる遺族

年金を受けていた方が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた、
(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族です。
未支給年金を受け取れる順位もこのとおりです。

日本年金機構



私も最近知ったのですが「未支給年金」というキーワードがミソで、年金を受け取る権利には時効があって、その期間は5年です。

参考外部リンク:年金の時効(日本年金機構)

65歳から70歳まで5年あるので、繰り下げ待機していて70歳になる直前で死亡してもその期間はまるまる遺族が請求できるので1円も損はしません。

本当にギリギリで死亡した場合は急いで請求しないと5年以上前の分は時効になってしまうかもしれないので、これは覚えておいた方がいいかもしれません。

あと気になるのは、現在70歳まで繰り下げ出来る制度も将来的にはもっと伸ばせそうなので、その場合は5年の時効も伸ばすように改正するのかな?という疑問です。まあ現状は考えても仕方がありませんが。



年金の繰り下げには例外規定がいっぱい(10項目も)あって、ややこしいのでそこには(詳しくもないので)触れられませんが、基本的に(ややこしい諸条件に触れなければ)繰り下げ受給して不利になることは何もないように思えます。やはりそこは国の制度なのでちゃんとしています。

繰り下げ待機していて途中で気が変わったり経済状況が変わって年金を貰うことにしても、未支給の年金はそのまま貰えるわけですからね。

参考外部リンク:老齢厚生年金の繰下げ受給(老齢厚生年金繰下げ請求にかかる注意点)(日本年金機構)


まあたとえ金額的に損ではなかろうが、自分が貰える金を貰わず使えないうちに死ぬ可能性があるのは嫌だ、という人は納得はしないかもしれませんし、だから実際に繰り下げ受給を選択する人は当分少数派でしょう。

65歳にもなって金銭的な事はある程度達観して悟れないのかなあ、と思いますがそんなものかもしれませんね。そう言う私もジジイになってもゼニカネ言ってる気がします。

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外部参考記事:GPIF 去年10~12月の運用で過去最大の赤字 株価下落が要因(NHK)

2018年度の第3四半期の運用成績が14兆8039億円の赤字で収益率はマイナス9.06%、一方で運用開始以来の累積の収益額は56兆6745億円というニュースです。

GPIFの運用成績はプラスの時はひっそりと、マイナスの時は大々的にニュースになります。

GPIFの運用成績に関しては人によって評価のスタンスが全然分かれるのが面白いところです。

一般的に言って株式投資など資産運用をしている人はGPIFの運用に関して比較的好意的な人が多く、資産運用をしていない人または政権批判者などは否定的、といった所です。

政治的思想を別にすれば、資産運用を善とする人と悪とする人で見解が分かれるということですね。

ギャンブル好きとギャンブル嫌いがお互いを毛嫌いするような。

分かり合えないというか、わかり合う気もない見解の相違があるという事でしょう。マスコミ各社で報道がまちまち、受け取る視聴者の見解もまちまちです。


ただし、本来はそんなにケンカするような問題ではありません。仲良くしましょう。

なぜならGPIFが運用で損しようが儲けようが、我々が受け取る年金や払う年金保険料には大した影響は無いからです。

年金給付の財源(財政検証で前提としている概ね100 年間の平均)は、その年の保険料収入と国庫負担で9 割程度が賄われており、積立金から得られる財源(寄託金償還又は国庫納付)は1割程度です。

年金財政における積立金の役割(GPIF)


現在の日本の年金制度は賦課方式であり、我々が収める年金保険料の大半は右から左へ給付金として支払われていて運用はされていません。基礎年金の半分は国庫負担つまり税金です。

過去の積立金から賄われているのは全体の1割程度、刺し身のツマよりは多少存在感がある程度です。


GPIFが運用で損しようが儲けようが制度に与える影響は少なく優先度が低いので、年金制度の持続性を保つにはもっと本質的な問題を考えなくてはいけません。

年金_convert_20190204155239
具体的にはマクロ経済スライド(平たく言えば年金カットの事です。もう一度言うと年金カットの事です。)がちゃんと機能するようにするとか、

国民年金の加入者(年金を払っていようがいまいが国民は強制的に加入者です)がちゃんと年金保険料を払ったり、払えない人は免除申請をするようにするにはどうしたら良いか、などの議論です。

GPIFの運用成績が発表されるたびに政治マニアや投資マニアが騒ぎますが、良識のある一般国民の皆様はそのような人たちに惑わされる事のないようにした方が良いと思いますがいかがでしょうか。

だいたい資産運用を毛嫌いする人は大抵窮乏しますし、逆に窮乏してる人が資産運用だけで何とかしようとすると大抵失敗します。

GPIFの運用成績に過剰に反応するのは賛成派だろうが反対派だろうがどっちもどっちだって事です。

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前記事:セミリタイア後の長生きリスクに備えるのにトンチン保険は不要

セミリタイア後の長生きリスクに備えるためのリスクヘッジは、私は年金の繰り下げ受給で行う事を検討していますというのが前記事の結論でした。

では実際、年金の受給開始年齢を遅らせる事でどれぐらい年金が増えるのか。またその場合通常受給より総支給額が多くなる、プラスに転じる年齢はいくつなのか?

計算は意外とカンタンです。

日本年金機構のサイトによると、

昭和16年4月2日以後に生まれた人については、支給の繰下げを申し出た日の年齢に応じてではなく、月単位で年金額の増額が行われることになります。また、その増額率は一生変わりません。
(中略)
増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007

老齢基礎年金の繰り下げ受給(日本年金機構)より引用

1年年金の受給開始を遅らせると、12か月×0.7%で8.4%の年金増額になります。これが死ぬまで続くので長生きすればするほど得になる。

1年受給を遅らせる事で損する分を増額分で取り返すのには、一年分を100%として一年分の増額率8.4%で割ると約11.9年ほぼ12年かかります。

結構単純な計算です。これを表にすると以下の通りです。

年金繰り下げ
65歳から70歳まで年金受給を遅らせるだけで、増額率は42%にもなりそれが死ぬまで続きます。人生100年時代が来るとしたら、これほど強力な長生きリスクに備える保険は無いでしょう。

だとしたら長生きに備えて無駄な保険を買うお金があったら、多少は年金受給を遅らせても問題無いように、自分で貯蓄運用しておいた方が良いと思います。もちろんその為にはちゃんと年金保険料は払っておかなければなりません。

公的年金は長生きリスクに備えるための保険と割り切って考えた方がいいかもしれません。

なお日本人の平均寿命は現時点で男性81歳女性87歳ほどですが、数字のトリックがあって、厚生労働省の出した平成28年簡易生命表によると70歳の人の平均余命は男性15年女性20年ほどもあります。

統計から理論的には年金の繰り下げ受給はかなり有利な賭けになっています。

外部参考リンク:平成28年簡易生命表の概況(厚生労働省)

以下は落とし穴的な注意点についての注意書きです。

・税金と社会保険料を考慮していないので、老後に税率が上がるほど収入のある人はまた別に計算が必要。
・将来的に受給開始年齢が65歳から後ろにずれる可能性がある。
・老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げ受給できる。
・繰り下げ期間中の加給年金は貰えなくなるので受給資格がある人は老齢基礎年金だけ繰り下げする手もある。(加給年金の受給資格は厚生年金を20年以上払っていて配偶者や子供のある人)

理論的には繰り下げ受給は長生きリスクに対する公的年金ならではの有力なリスクヘッジになるのですが、実際にこの制度を利用している人は全体のなんと1%台しかいません。

利用する人が少ない制度ほど実際には利用価値があります。このようなリスク要因を自分で洗い出して適切な行動を取れる人は実際にはほとんどいません。

繰り下げではなく逆に繰上げ、つまり65歳以前に年金を受け取る制度の利用者は約4割もいます。リスクヘッジもへったくれもない行動様式ですが、人間の経済行動は理屈ではないようです。

それにしたって日本人バカ過ぎ……いや失礼しました、年金受給を遅らせる事が出来るのは経済的に余裕のある人だけですものね。ただやはりこの結果は偏りがありすぎるので、日本は金融教育の機会が不足しすぎていると感じます。
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